株式会社アトックスは、1988年に千葉県柏市に技術開発センターを設立。以来、そこを拠点として、原子力発電所や原子燃料サイクル施設、原子力研究施設、RI施設などで用いられるさまざまな技術開発を行ってきました。その安全性や確実性、コストパフォーマンスにはとても高い評価を得ています。おもな分野には、「放射性物質の除染」、「放射性廃棄物の処理」、「被ばくの防護」の3つがあります。

まず、原子力施設を保守管理するためには、原子炉ウェルなどの除染工事や、タービン、解体物の除染作業が欠かせません。そのために、原子炉の壁面をブラッシングする「壁面除染装置」や、研削材をぶつけて除去するブラスト除染工法の「遠心投射式ブラスト」、「直圧式エアーブラスト」といった技術開発を行ってきました。

「廃液非排出型電解除染システム」では、金属表面を研磨する電気化学研磨法に中性薬液を用いて、より安全性の高い方法を実現しています。一方、原子力施設で発生が避けられない放射性廃棄物については、現場のニーズに合った処理装置や、トレーサビリティを高める技術開発を行ってきました。軽トラックやエンジン式発電機を搭載した「汚染水処理装置」は現場での処理が可能、さらに処理した水をそのまま放出、除染への再利用などができます。

解体作業では、遠隔操作による「ポータブル自動プラズマ切断機」で、被ばく低減を実現。ホースやポリ容器、ゴム製品、木材などを粉砕する「固体廃棄物粉砕減容装置」や、エアプラズマ切断による「ドラム缶切断装置」は、廃棄物の量自体を減らすことができます。

ドラム缶については、バーコードで詳細な管理ができる「固体廃棄物情報管理システム」や、切れ目のない画像データで検査作業を安全に行える「ドラム缶外観検査装置」なども開発しています。

このような除染や解体の作業を行ううえで重要なのが、放射性物質からの被ばくを防ぐ技術です。「バルクヘッドカバー」は、あらかじめ汚染を閉じ込めることで、原子炉ウェル底部の作業リスクを大幅に軽減。「キャスクカバー」は、使用済み燃料を移送するときに移送容器キャスクの表面を保護することができます。

このような分野以外にも、「点検や調査にかかわる工法開発・サービスの提供」では、ロボット技術を積極的に活用。遠隔操作で水中作業を行う「ROVシステム」や、小型クローラ採用で狭い現場でも利用可能となった「小型水中点検・清掃装置」を開発。また、「プラントメンテナンスサービス」では、社員の研修も兼ねて、技術の向上などもはかっています。

「作業の安全性向上と作業の効率化」の分野では、使用済燃料プールでの汚染を防ぐ「異物混入防止手摺」や、「APDバイブユニット」によるバイブとLEDの警報で作業員の安全をしっかり確保。さらに、「循環水配管内足場」や「復水器水室内足場」によるスムーズな作業を実現しています。

こういった技術開発力を活かして、アトックスでは東日本大震災による福島第一原子力発電所の廃止措置や、周辺地域の環境修復事業でもさまざまな技術開発を行ってきました。その一環である小型遠隔除染装置「RACCOON」や、RI施設などポイントごとに遮へい能力を評価できる「放射線の挙動解析・遮へい計算技術」などは、その作業においてとても活躍しています。技術開発センターでは、ほかにも自治体や企業の依頼による、水や土壌、農作物、食品などの測定も行っています。

株式会社アトックスは、原子力関連施設にまつわるさまざまな事業を行う会社です。その内容は、原子力発電所の保守管理から、原子燃料サイクル施設関連業務、放射性廃棄物処理と幅広くなっています。また、放射性物質に関するノウハウを活かし、研究所や病院などで、RI研究施設やPET治験薬製造のサポート、メンテナンスも行っています。

本社は東京都港区にあり、資本金1.5億円。従業員1,724名。2017年3月期で、263億円の売上高を記録しています。もともとは、1953年に設立された「株式会社ビル清掃」が事業のはじまりでした。1964年には「株式会社ビル代行」に商号を変更、総合ビルメンテンナンス会社として営業を行っていきます。

その一環として、原子力関連作業部が設置されたのが1967年のことでした。その後は、民間会社として初めて日本各地の原子力施設内に事業所を開設。以来、原子力施設にまつわるメンテナンス技術のトップランナーとして、その地位を築き上げてきました。

1980年には、株式会社ビル代行から原子力部門を分離、「株式会社原子力代行」として独立します。そして、1993年に商号を「株式会社アトックス」に変更。2014年には、現在の本社へと移転しています。本社以外にも、千葉県に技術開発センター、福島県に技能訓練センターを持ち、北海道から九州まで、各地に作業所や営業所などを設立しています。

それぞれの地域で電力会社や研究機関、大学、地方自治体、民間会社などとも取引。全国に広いネットワークを持っています。また、2011年に東日本大震災が発生すると、すぐさま汚染水処理や放射線管理業務などに従事。周辺地域の除染活動にも積極的に参加してきました。

4月になると「福島復興本部」を開設、翌年には「福島統括事務所」へ組織変更して、2014年に「福島復興支社」として設立。その復興業務を会社の最優先課題として、現在でも資源エネルギー庁のプロジェクトのもと、福島第一原子力発電所の廃止措置プロジェクトに取り組んでいます。

2014年には、世界最大の原子力産業複合企業であるフランスのアレバ社と合弁会社「株式会社AREVA ATOX D&D SOLUTIONS」を設立。
次いで、2016年にはテックプロジェクトサービス株式会社、およびグループ会社の総合ビルメンテナンス業「グローブシップ株式会社」との共同出資で太陽光発電所の管理やメンテナンスを行う「TAG O&Mサービス株式会社」を設立。

これまで蓄積してきた実践経験をもとに、より幅広い分野での事業展開を進めています。ほかにもグローブシップグループの関連会社には、原子力関連業務や清掃、設備管理といった建物総合管理を行う「西日本・青森・福島クリエイト」の3つの子会社。その関連資機材の販売を行う「株式会社エフ・ティ販売」などがあります。