株式会社アトックスは、原子力関連施設にまつわるさまざまな事業を行う会社です。その内容は、原子力発電所の保守管理から、原子燃料サイクル施設関連業務、放射性廃棄物処理と幅広くなっています。また、放射性物質に関するノウハウを活かし、研究所や病院などで、RI研究施設やPET治験薬製造のサポート、メンテナンスも行っています。本社は東京都港区にあり、資本金1.5億円。従業員1,724名。2017年3月期で、263億円の売上高を記録しています。

アトックスの軌跡

1953年に設立された「株式会社ビル清掃」が事業のはじまりでした。1964年には「株式会社ビル代行」に商号を変更、総合ビルメンテンナンス会社として営業を行っていきます。その一環として、原子力関連作業部が設置されたのが1967年のことでした。その後は、民間会社として初めて日本各地の原子力施設内に事業所を開設。以来、原子力施設にまつわるメンテナンス技術のトップランナーとして、その地位を築き上げてきました。

1980年には、株式会社ビル代行から原子力部門を分離、「株式会社原子力代行」として独立します。そして、1993年に商号を「株式会社アトックス」に変更。2014年には、現在の本社へと移転しています。本社以外にも、千葉県に技術開発センター、福島県に技能訓練センターを持ち、北海道から九州まで、各地に作業所や営業所などを設立しています。

それぞれの地域で電力会社や研究機関、大学、地方自治体、民間会社などとも取引。全国に広いネットワークを持っています。また、2011年に東日本大震災が発生すると、すぐさま汚染水処理や放射線管理業務などに従事。周辺地域の除染活動にも積極的に参加してきました。

4月になると「福島復興本部」を開設、翌年には「福島統括事務所」へ組織変更して、2014年に「福島復興支社」として設立。その復興業務を会社の最優先課題として、現在でも資源エネルギー庁のプロジェクトのもと、福島第一原子力発電所の廃止措置プロジェクトに取り組んでいます。

2014年には、世界最大の原子力産業複合企業であるフランスのアレバ社と合弁会社「株式会社AREVA ATOX D&D SOLUTIONS」を設立。
次いで、2016年にはテックプロジェクトサービス株式会社、およびグループ会社の総合ビルメンテナンス業「グローブシップ株式会社」との共同出資で太陽光発電所の管理やメンテナンスを行う「TAG O&Mサービス株式会社」を設立。

2016年には、富岡町との地域連携協定を締結しました。協定内容は、公害防止や安全対策、災害支援、地元地域住民の優先的雇用等についてです。

[富岡町との地域連携協定調印式の様子]

これまで蓄積してきた実践経験をもとに、より幅広い分野での事業展開を進めています。ほかにもグローブシップグループの関連会社には、原子力関連業務や清掃、設備管理といった建物総合管理を行う「西日本・青森・福島クリエイト」の3つの子会社。その関連資機材の販売を行う「株式会社エフ・ティ販売」などがあります。

東日本大震災の影響を受け、福島第一原子力発電所でメルトダウンや放射性物質の放出といった事故が発生し、国際原子力事象評価尺度では深刻な事故とされるレベル7と判断されています。株式会社アトックスは福島第一原子力発電所の事故以降、発電所内の汚染水処理や放射線管理など色々な業務を行ってきました。業務はそれだけに留まらず、周辺地域の除染活動に一足早く積極的に取り組んでいます。

アトックス、福島復興支社の設立

アトックス 福島復興支社
アトックス復興支社 [引用:http://www.atox.co.jp/business/fukushima/]

アトックスは全国各地に事務所が存在しますが、福島地区における汚染水処理や放射線管理、除染活動などの業務に迅速・的確に対応するため、2014年に福島復興支社(福島県双葉郡富岡町)を設立しました。さらに、資源エネルギー庁のプロジェクト「総合的線量低減計画策定」と「円筒容器内水位測定のための遠隔基盤技術の開発」に対して、安全性の向上や新しい技術開発積極的に取り組んでおります。

福島復興事業の内容について

アトックスの福島復興事業は、廃炉工事、設備工事、環境施設および地域復興の4つの活動で成り立っています。

・廃炉工事について

汚染水を貯めているフランジ型タンク解体することを目的に、タンクに残る汚染水を移送、クラッド(被覆材)の回収と清掃業務を行っています。さらに、建屋内線量の軽減を目的に線量調査と除染活動を実施しており、高線量箇所に対してはドローンを用いて線量測定や空撮を行っています。

安全に除染と調査を実行するために、アトックスは「RACCOONⅡ」という小型遠隔除染装置を独自で開発し、現場に投入しました。この除染装置は今までの除染作業の経験と現場運用のノウハウを活かし、旧型を改良したもので、小型であるため配管下や既設している盤の隙間など、従来の装置では行き届きにくい部分の除染を実現しました。独自の小型遠隔除染装置やドローンにより、発電所内でも高線量の場所の特定や清掃などが可能となっています。

アトックス RACCOONⅡ
RACCOONⅡ [引用:http://www.atox.co.jp/technique/remove_wash/index.html]

・設備工事について

汚染水に含まれているセシウムとストロンチウムの濃度を下げるために取り組んでいます。建屋内にセシウム吸着装置「KURION」と第二セシウム吸着装置「SARRY」を設置し、運転と保守管理を行っています。また、トリチウム以外の放射性物質を取り除くために、多核種除去設備「ALPS」を増設し、運転・保守管理、薬品の供給や付帯設備の保守も担当しています。

アトックス 既設ALPS
既設ALPS [引用:http://www.atox.co.jp/business/fukushima/]

・環境施設について

発電所で復旧作業に関わる作業員に対する業務を行っています。作業員が放射線による健康被害を受けないための、防護措置に務めています。主には、定期的な放射線測定を行い、さらに自治体施設などの清掃により健康被害のリスク低減に努めています。

・地域復興について

アトックスでは主に福島県内の汚泥処理施設、浄化センター、除染工事などの施設で放射線管理、対策地区内の廃棄物処理なども行っています。また、福島復興支社に倉庫を開業し、地域のニーズにも対応しているところです。

まとめ

アトックスは長年原子力発電所の保守管理や放射性物質関連業務に携わっていますが、企業の最優先課題に福島の復興活動を掲げています。震災から年月は経っていますが、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故は現在も深い爪痕を残しており、アトックスは被災者の気持ちに寄り添って復興活動に尽力しています。これからも国内外の機関と技術協力を図りながら、1日も早く誰もが安心して暮らせる福島に戻すため、事業を推進していく方針のようです。