アトックスの概要

商号 株式会社アトックス
URL https://www.atox.co.jp/
本社所在地 〒108-0014 東京都港区芝四丁目11番3号 芝フロントビル
代表取締役 社長  矢口敏和
設立 昭和55年9月1日
資本金 1.5億円

株式会社アトックスは、昭和55年9月1日に設立した会社です。本社は東京都港区に所在し、全国各地に事務所・事業所・営業所・測定センターが多数点在しています。資本金1.5億円。従業員1,724名。2017年3月期で、263億円の売上高を記録しています。

株式会社アトックス本社外観
[株式会社アトックス本社外観]

事業内容は、エネルギー関連施設のメンテナンスや環境保全のためのトータルメンテナンスです。具体的には、放射線管理、化学分析、放射性廃棄物処理、除染、点検保守、施設管理、各種工事、装置運転、環境測定、研究開発、共同研究などが挙げられます。民間で最初に原子力施設内に事業所を開設したこともあり、原子力施設の総合的なメンテナンス技術では最先端をいく企業とも言えるでしょう。

また、放射性物質に関するノウハウを活かし、研究所や病院などで、RI研究施設やPET治験薬製造のサポート、メンテナンスも行っています。

株式会社アトックスの沿革

1953年に設立された「株式会社ビル清掃」が事業のはじまりでした。1964年には「株式会社ビル代行」に商号を変更、総合ビルメンテンナンス会社として営業を行っていきます。その一環として、原子力関連作業部が設置されたのが1967年のことでした。その後は、民間会社として初めて日本各地の原子力施設内に事業所を開設。以来、原子力施設にまつわるメンテナンス技術のトップランナーとして、その地位を築き上げてきました。

1980年には、株式会社ビル代行から原子力部門を分離、「株式会社原子力代行」として独立します。そして、1993年に商号を「株式会社アトックス」に変更。2014年には、現在の本社へと移転しています。本社以外にも、千葉県に技術開発センター、福島県に技能訓練センターを持ち、北海道から九州まで、各地に作業所や営業所などを設立しています。

それぞれの地域で電力会社や研究機関、大学、地方自治体、民間会社などとも取引。全国に広いネットワークを持っています。また、2011年に東日本大震災が発生すると、すぐさま汚染水処理や放射線管理業務などに従事。周辺地域の除染活動にも積極的に参加してきました。

4月になると「福島復興本部」を開設、翌年には「福島統括事務所」へ組織変更して、2014年に「福島復興支社」として設立。その復興業務を会社の最優先課題として、現在でも資源エネルギー庁のプロジェクトのもと、福島第一原子力発電所の廃止措置プロジェクトに取り組んでいます。

2014年には、世界最大の原子力産業複合企業であるフランスのアレバ社と合弁会社「株式会社AREVA ATOX D&D SOLUTIONS」を設立。
次いで、2016年にはテックプロジェクトサービス株式会社、およびグループ会社の総合ビルメンテナンス業「グローブシップ株式会社」との共同出資で太陽光発電所の管理やメンテナンスを行う「TAG O&Mサービス株式会社」を設立。

2016年には、富岡町との地域連携協定を締結しました。協定内容は、公害防止や安全対策、災害支援、地元地域住民の優先的雇用等についてです。

[富岡町との地域連携協定調印式の様子]

アトックスの主な事業/サービス内容は?

株式会社アトックスでは、東日本大震災による福島第一原子力発電所の廃止措置(福島復興事業)に貢献し、また、核医学医療事業なども行っています。

■福島復興事業

アトックスは全国各地に事務所が存在しますが、福島地区における汚染水処理や放射線管理、除染活動などの業務に迅速・的確に対応するため、2014年に福島復興支社(福島県双葉郡富岡町)を設立しました。さらに、資源エネルギー庁のプロジェクト「総合的線量低減計画策定」と「円筒容器内水位測定のための遠隔基盤技術の開発」に対して、安全性の向上や新しい技術開発積極的に取り組んでおります。

アトックス 福島復興支社
アトックス復興支社 [画像: 株式会社アトックス]

アトックスの福島復興事業は、廃炉工事、設備工事、環境施設および地域復興の4つの活動で成り立っています。

廃炉工事

汚染水を貯めているフランジ型タンク解体することを目的に、タンクに残る汚染水を移送、クラッド(被覆材)の回収と清掃業務を行っています。さらに、建屋内線量の軽減を目的に線量調査と除染活動を実施しており、高線量箇所に対してはドローンを用いて線量測定や空撮を行っています。

安全に除染と調査を実行するために、アトックスは「RACCOONⅡ」という小型遠隔除染装置を独自で開発し、現場に投入しました。この除染装置は今までの除染作業の経験と現場運用のノウハウを活かし、旧型を改良したもので、小型であるため配管下や既設している盤の隙間など、従来の装置では行き届きにくい部分の除染を実現しました。独自の小型遠隔除染装置やドローンにより、発電所内でも高線量の場所の特定や清掃などが可能となっています。

アトックス RACCOONⅡ
RACCOONⅡ [画像: 株式会社アトックス]

設備工事

汚染水に含まれているセシウムとストロンチウムの濃度を下げるために取り組んでいます。建屋内にセシウム吸着装置「KURION」と第二セシウム吸着装置「SARRY」を設置し、運転と保守管理を行っています。また、トリチウム以外の放射性物質を取り除くために、多核種除去設備「ALPS」を増設し、運転・保守管理、薬品の供給や付帯設備の保守も担当しています。

アトックス 既設ALPS
既設ALPS [画像: 株式会社アトックス]

環境施設

発電所で復旧作業に関わる作業員に対する業務を行っています。作業員が放射線による健康被害を受けないための、防護措置に務めています。主には、定期的な放射線測定を行い、さらに自治体施設などの清掃により健康被害のリスク低減に努めています。

地域復興

アトックスでは主に福島県内の汚泥処理施設、浄化センター、除染工事などの施設で放射線管理、対策地区内の廃棄物処理なども行っています。また、福島復興支社に倉庫を開業し、地域のニーズにも対応しているところです。

 

アトックスは長年原子力発電所の保守管理や放射性物質関連業務に携わっていますが、企業の最優先課題に福島の復興活動を掲げています。震災から年月は経っていますが、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故は現在も深い爪痕を残しており、アトックスは被災者の気持ちに寄り添って復興活動に尽力しています。

■核医学医療事業~原子力で医療に貢献~

時代のニーズと共に医療現場が直面する課題は日々変化し続けています。近年に見られる傾向として、治療対策と同等に早期診断することによってその後の治療効果に貢献できるという考え方も期待されているようです。原子力を活用した核医学検査は、病気の根源となる臓器を画像化することができる最先端の医療技術でもあります。

ここでは、アトックスが展開する核医学医療事業について詳しく解説していきましょう。

頭部PET装置でアルツハイマーの早期診断が可能に

治療によって回復は難しいとされているアルツハイマー病に対し、PETによる早期診断の実用化が進んできています。しかし、従来のPET装置は全身用の大型構造となっており、コストの負担や画像改善という課題が重くのしかかっていました。そこでアトックスでは、これまでのPET装置より感度が高く、低コストに挑んだ装置を製作するため、「国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構」と共同で頭部専用PET装置の小型形状の実用化に関する研究に着手しました。

平成28年8月1日には「ヒロセ電子システム株式会社」と製品化に向けた開発委託契約を結び、ヘルメット型のPET装置の実用化に向けた具体的なコスト削減、医療機器開発国際規格への準拠、画像評価の最適化など製品化に向けた試作機の製作に取り組んでいます。平成30年度には、この1次試作機を製作完成した後、臨床現場において臨床研究を行う予定です。

がん治療法に活用できる鉛212ジェネレーター

がん治療法としてアルファ線放出核種を使用した核医学治療の実現を目指して、「鉛212ジェネレーター」の開発・研究を新たに着手することになりました。このアルファ線放出核種を使った核医学治療法は、体の内部からピンポイントでがんを攻撃することができ、転移性のがんにも有効な治療として期待されています。

さらに212ジェネレーターは、加速器や原子炉など大型の設備を用いなくてもラジウム224から212ジェネレーターを作り出すことができる小型装置です。この開発研究は、国立研究開発法人の科学技術振興機構が主催する「産学供創プラットフォーム共同研究推進プログラム」の一つとして採択され、5年間実施することになっています。

ガリウム68ジェネレーターの輸入販売と前立腺がん診断薬68Ga-PSMAの開発

ガリウム68ジェネレーターは、様々な68Ga標識PET診断薬の製造に利用することができる小型装置です。68Ga標識PET診断薬の中で最も期待されているものが68Ga-PSMAで、PETカメラで撮像することにより前立腺がんを高い精度で診断できます。泌尿器科等の医学会から国内導入に大きな期待を寄せられ、この度、2021年の完成を目指し、北海道大学医学部、住友重機械工業及びアトックスが共同開発することで合意しました。

株式会社アトックスでは、日本の原子力関連施設のメンテナンスに取り組みながら、これまで培ってきた技術やノウハウを活かし核医学医療事業という新たな発想を加えた高度なサービスを提供していくというビジョンを持っています。安全や品質の向上を常に追及しながら、今後も実績を積み重ねて社会・顧客から信頼される企業として成長していくことでしょう。

■アトックスのサービス案内~環境測定~

アトックスでは、顧客の依頼に応じて環境測定のサービスも行っています。環境測定というのは、作業現場で発生する有害な因子について行う測定です。たとえば、有機溶剤や化学物質、粉じん、鉛などの物質、あるいは放射線や電磁波、光線、騒音、振動、温度などの物理現象もこれらに当てはまります。このような因子が認められる環境では、それを取り除くか、一定以下の数値まで減少させなければいけません。もし実行できないときには、保護具や保護衣によって、労働者の健康を守る必要があります。

これらはすべて、労働安全衛生法第65条によって定められています。どのような場所や物質が条件となるかも、「作業環境測定を行うべき作業場と測定の種類等」および「測定対象物質と管理濃度」によって、それぞれ細かく決められています。これに当てはまる施設の管理者は、作業環境測定士か作業環境測定機関に依頼をして、環境測定を行わなければいけません。株式会社アトックスでは、次のような手順で測定を実行します。

アトックスの環境測定手順

  1. まず、有害な因子が発生していると考えられる現場を「単位作業場所」として、その範囲を設定。そのなかに、等間隔で複数の測定点を決めていきます。また、発生源となる場所を目安にして、最大測定値をはかる測定点も同時に決定します。
  2. 次に、その作業場が実際に稼働する時間帯を確認します。実際に有害因子が発生する時間帯から、一定時間でサンプリングを行います。サンプリングでは、それぞれの有害因子をもっとも採取しやすい方法を選びます。
  3. 試料を分析したら、その結果から測定値をもとめます。それぞれの測定点と現場全体の管理濃度の数値を比較。それによって管理区分を決め、評価を行っていきます。ここまので項目を、すべて作業環境測定結果報告書に記載したら、最後にそれを施設管理者へ提出します。

この一連の作業において、株式会社アトックスには2つの強みがあります。

自社に多くの作業環境測定士を抱えている

これまで行ってきた原子力発電所関連の業務によって、自社に多くの第1種の作業環境測定士を抱えています。

  • 放射性物質の登録:71名
  • 鉱物性粉じん:18名
  • 特定化学物質:17名
  • 有機溶剤:17名
  • 金属類:12名

さらに、第2種作業環境測定士においては、41名を取りそろえており、多様な作業環境測定士と装置を用意することで、あらゆる顧客のニーズに対応することが可能です。

サンプリング装置や分析機器を自社で多数保有

また、サンプリング装置や分析機器を自社で多数保有しているのも大きな強みです。主なものだけでも以下があります。

  • 放射線分析装置
  • ガスクロマトグラフ分析装置
  • 液体シンチレーションカウンター
  • 吸光度計
  • ICP発光分析装置
  • エアサンプラー
  • 位相差顕微鏡

アトックスの活動や取り組みとは?

■原子力関連の技術開発

アトックスは、1988年に千葉県柏市に技術開発センターを設立。以来、そこを拠点として、原子力発電所や原子燃料サイクル施設、原子力研究施設、RI施設などで用いられるさまざまな技術開発を行ってきました。その安全性や確実性、コストパフォーマンスにはとても高い評価を得ています。

アトックス 技術開発センター
技術開発センター[画像: 株式会社アトックス]

主な分野としては、以下の3つがあります。

  • 放射性物質の除染
  • 放射性廃棄物の処理
  • 被ばくの防護

放射性物質の除染

まず、原子力施設を保守管理するためには、原子炉ウェルなどの除染工事や、タービン、解体物の除染作業が欠かせません。そのために、原子炉の壁面をブラッシングする「壁面除染装置」や、研削材をぶつけて除去するブラスト除染工法の「遠心投射式ブラスト」、「直圧式エアーブラスト」といった技術開発を行ってきました。

アトックス 壁面除染機
壁面除染機 [画像: 株式会社アトックス]

アトックス 遠心投射式ブラスト除染装置
遠心投射式ブラスト除染装置 [画像: 株式会社アトックス]

放射性廃棄物の処理

「廃液非排出型電解除染システム」では、金属表面を研磨する電気化学研磨法に中性薬液を用いて、より安全性の高い方法を実現しています。一方、原子力施設で発生が避けられない放射性廃棄物については、現場のニーズに合った処理装置や、トレーサビリティを高める技術開発を行ってきました。軽トラックやエンジン式発電機を搭載した「汚染水処理装置」は現場での処理が可能、さらに処理した水をそのまま放出、除染への再利用などができます。

被ばくの防護

解体作業では、遠隔操作による「ポータブル自動プラズマ切断機」で、被ばく低減を実現。ホースやポリ容器、ゴム製品、木材などを粉砕する「固体廃棄物粉砕減容装置」や、エアプラズマ切断による「ドラム缶切断装置」は、廃棄物の量自体を減らすことができます。ドラム缶については、バーコードで詳細な管理ができる「固体廃棄物情報管理システム」や、切れ目のない画像データで検査作業を安全に行える「ドラム缶外観検査装置」なども開発しています。

このような除染や解体の作業を行ううえで重要なのが、放射性物質からの被ばくを防ぐ技術です。「バルクヘッドカバー」は、あらかじめ汚染を閉じ込めることで、原子炉ウェル底部の作業リスクを大幅に軽減。「キャスクカバー」は、使用済み燃料を移送するときに移送容器キャスクの表面を保護することができます。

その他、ROVシステム、小型水中点検・清掃装置を開発

このような分野以外にも、「点検や調査にかかわる工法開発・サービスの提供」では、ロボット技術を積極的に活用。遠隔操作で水中作業を行う「ROVシステム」や、小型クローラ採用で狭い現場でも利用可能となった「小型水中点検・清掃装置」を開発。また、「プラントメンテナンスサービス」では、社員の研修も兼ねて、技術の向上などもはかっています。

アトックス 小型ROV
小型ROV [画像:株式会社アトックス]

「作業の安全性向上と作業の効率化」の分野では、使用済燃料プールでの汚染を防ぐ「異物混入防止手摺」や、「APDバイブユニット」によるバイブとLEDの警報で作業員の安全をしっかり確保。さらに、「循環水配管内足場」や「復水器水室内足場」によるスムーズな作業を実現しています。

 

こういった技術開発力を活かして、アトックスでは東日本大震災による福島第一原子力発電所の廃止措置や、周辺地域の環境修復事業でもさまざまな技術開発を行ってきました。その一環である小型遠隔除染装置「RACCOON」や、RI施設などポイントごとに遮へい能力を評価できる「放射線の挙動解析・遮へい計算技術」などは、その作業においてとても活躍しています。技術開発センターでは、ほかにも自治体や企業の依頼による、水や土壌、農作物、食品などの測定も行っています。また、近年注目されているドローンの現場での活用にも注力しています。

ドローンの操作の訓練の様子(社内の認定制度に合格した者が現場でオペレーターを務めます。)

まとめ:福島復興事業での経験も含め、より幅広い分野で事業展開

株式会社アトックスは福島第一原子力発電所の事故以降、発電所内の汚染水処理や放射線管理など色々な業務を行ってきました。業務はそれだけに留まらず、周辺地域の除染活動に一足早く積極的に取り組んでいます。

これまで蓄積してきた実践経験をもとに、より幅広い分野での事業展開を進めています。ほかにもグローブシップグループの関連会社には、原子力関連業務や清掃、設備管理といった建物総合管理を行う「西日本・青森・福島クリエイト」の3つの子会社。その関連資機材の販売を行う「株式会社エフ・ティ販売」などがあります。